監督者になったときの目標を忘れない

先ほど私が監督者を目指した理由を語りましたが、正確にはもうひとつあります。それは出世欲です。

私の年代は監督者の試験を受けるメンバーは皆無でした。朝は早く、帰りは遅い、メンバーと上司との板挟みが多いためです。しかし、私は仲の良いメンバーが働きやすい現場に自分でしてみたいという気持ちがありました。これだけは昇進して上司にならないとできません。

私は、監督者の経験は、主任も含めると15年あります。監督者になりたての頃は同じ部署でメンバーの性格もわかっていたので順調でした。監督者の目的はメンバーを育てることだとわかっていたつもりでした。

しかし、必要人員が常にマイナスで毎日不足分を残業で補っていました。これで一人休んだら残業4名増加です。年休の他にもう一人突発で休めばほぼ全員が残業となります。遅れそうなときは早出をかけたり、休日出勤をかけたり、計画的にできず人の手配が大変でした。しかしバタバタしながらも即断即決ができるようになり、トラブルが起きても欠員が出ても対応できました。

ただ、冠婚葬祭以外の突発的な欠勤だけは避けるためにメンバーとしっかり話し込みました。コミュニケーションをとりながら、困っていることも含め期待に応えながら性格を掴むことができてうまくいくようになりました。

ところが、数年後に部署の統合化がありました。新しい部署が追加され、そこには11名のメンバーがいました。同じ年代は1名で、あとはすべて年配者で初めて接する人ばかりです。教育などあまりできておらず、最初は非常に苦労しました。

つまり、メンバーの性格がわからないと、何か問題があったときに有効な対策が打てなくなるからです。これができないから人に任せて逃げたくなるのです。あるいは気にしなくなるのです。そして、その考え方、行動自体が常態化してしまうのです。監督者になろうと思ったときの心意気、初心をすっかり忘れてしまっていたように思います。

しかしこれは、後で監督者自身にしっかり跳ね返ってきます。監督者である以上、絶対に逃げられないのです。真の監督者に少しずつでも近づいていく努力をするべきです。