電気事業連合会のデータによりますと、日本の家庭の消費電力は、年間にして3600キロワット時でありますので、4キロワットのソーラーシステムを各家庭が設置すれば、年間約4000キロワット時の電力を発生するので、自分の家で消費する電力を自分で生み出すことができます。これはあくまで平均的な家庭ですので、家庭の事情によってソーラー発電システムの面積を増減すればよいのです。

家庭の屋根に4キロワットのソーラー発電システムを設置すると、そこから発生する電力の価格は、4000kWh×23円/kWh(家庭用電力料金単価はだんだん下がります)=9万2000円になります。あるいは電気料の節約となります。

これを日本全国で考えますと、一戸建て住宅は約2700万戸ありますが、その80%が太陽電池の設置可能な住宅としますと(ビルの陰などで設置できない家があることなどを見込みました)、4000kWh×2700万戸×0.8=864億kWhとなります。

2009年の国内総電力需要は、8600億キロワット時ですので、一戸建ての住宅でのソーラー発電で総電力需要の約10%の電力がまかなえることになります。しかも、これは新たな土地を必要としません。

同様な計算をマンションなどの屋上などへ展開した場合を考えます。総務省のデータによりますと、共同住宅(アパート、マンションなど)は約66万棟あります。その80%にそれぞれ、20キロワット(200平方メートル)のソーラー発電システムを設置すれば、1年間に、100kWh×200平方メートル×66万棟×0.8 106億kWhの電力が得られます。

また、事業所など33.5万ヶ所の80%にそれぞれ,200キロワット(1000平方メートル)のソーラー発電システムを設置したら、1年間の発電量は、200 kWh×1000平方メートル×33.5万ヶ所×0.8536億kWh になります。

その他、公共施設、産業施設、空き地などにそれぞれ45ギガワット、50ギガワットのソーラー発電システムを設置すれば、桑野幸徳氏は『自宅でできるソーラー発電のすすめ』では以下のようになるとしています。

個人住宅(2700万戸)の80%に4kW設置864億kWh(86GW)
集合住宅(66万棟)の80%に20kW設置106億kWh(11GW)
事業所(33.5万ヶ所)の80%に200kW設置536億kWh(54GW)
その他公共施設、産業施設に設置450億kWh(45GW)集中発電用として設置500億kWh(50GW)

計2456億kWh (246GW)

つまり、日本の太陽電池の利用可能量は約2400億キロワット時(約240GW の太陽電池の年間発電量に相当)になるとしています。2009年の日本の国内総電力需要は8600億キロワット時であり、これの約30%に相当します。これは、現在(福島事故の前)の日本の総電力需要の約30%を担っている原子力発電の総発電量にほぼ匹敵する量であります。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。