年賀状

年末になると、もう年賀状の交換はやめようかなとつい思う。

歳をとりすっかり面倒くさくなってきたのだ。それでもやめるなら一度断りを入れてからだと、また五十枚買ってきた。書き始めるとそれなりに、気分が乗ってくる。一年前の友人に向かって、今の私が問いかける。

「ギターの練習を頑張っていますか?」

「腰の痛みはいかがですか?」

「今年は武志君大学受験ですね。風邪をひかないように頑張って!」

クリスマスの頃に投函する。元旦、三日に年賀状が届く。

「一月三十日に手術することになりました」

などと、返事とも思える賀状がある。慌てて電話をした。

毎年楽しみな写真の年賀状がある。織物をしている方の干支を織って写真にしたもの。今年は可愛いネズミである。織物なのにどうしてこんなに立体的な動物が織れるのだろうと、いつも不思議な気がする。

お花を習っている方からのは、毎月活けたお花の写真十二枚が並んでいる。カルチャー教室で一クールくらい一緒になっただけで、お顔も思い出せない方のもある。

毎年彼女が気に入ったものの写真を送ってくる。今年は出張で行ったというニューヨークの写真であった。若々しかった彼女の雰囲気が思い出される。

子どもの写真も多い。成長を楽しんで見ていた。去年まで兄弟の写真であったものが、ワンちゃんの写真に変わっている。新しく家族の代表になった豆柴が、ネズミの顔の帽子を被り、すましていた。多分お兄ちゃんが中学生になって

「オレの写真を年賀状に載せないで!」

と言ったのである。言葉にならないメッセージを感じる。問題発見。

「ノルディック! スキー競技! カッコいい! うらやましいです」

という友人の文である。

「えっ、ええっ?」

多分私が前年に、ノルディックウォーキングと書くところを省略してノルディックと書き、ノルディックスキーだと思われたのである。

信州生まれの私だ。スキーもありえないことではない。本当はできないけれど。来年の賀状で訂正しなければ。やれやれ何年越しの会話になるのだろう。そんなこんなで、年賀状は続くのである。