この指標は、単位量の製品や生産額を産み出すのに必要な電力・熱(燃料)などのエネルギー消費量のことで、その算定は分子にエネルギー消費量、分母にそのエネルギー消費で賄われる製品数や経済価値を置いて行います。

エネルギー消費原単位=エネルギー消費量(インプット)/生産量・生産高(アウトプット)の分数式で表されます。

図表1は、製造業のエネルギー消費原単位の推移を表したもので、確かに1970年代のオイルショック時代の積極的な省エネルギー・エネルギー効率化努力によって、原単位は半分近くになっています。

つまり、半分近いエネルギー消費で今までと同じものが作られ価値が生み出されたこととなり、それだけ効率が向上したということです。

ただ1980年代の半ばあたりからは、この原単位が横ばいとなっており、これは省エネルギー・エネルギー効率化があまり進んでいないことを示しています。

つまり、もう「絞り切った雑巾」のように、これ以上絞っても水は出ないということです。

[図]製造業のエネルギー消費原単位の推移

この図は、まさに「絞り切った雑巾論」の定量的な証拠としてよく出てくるものです。「だからもうこれ以上の省エネルギー・エネルギー効率化は無理です」と言い切ってしまえば、思考停止状態になります。

そういう言い訳に終始する現場と過去の栄光に安住する会社全体を、どのようにイノベーションが自発的・創発的に起こるような雰囲気・社風に変えていけるか、企業が本気で脱炭素経営に転換するためには、その変革への強い意志と実行力が経営者に問われているのです。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『データドリブン脱炭素経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。