支店で仕事が終わると毎日のように飲みにいくのも銀行らしく感じました。上司が「今日いくぞ」と言ったら付き合うしかありません。仕事で遅れて参加するのはアリですが、来ないのはナシです。

新人は、上司や先輩の役に立たないどうでもいい仕事話を適当に聞き流しながら、注文を店員に伝え、お酒を作らないといけません。座ってお酒や会話を楽しむ時間は全くありません。誰かが「おかわり」というたびに席を立ち、グラスを預かり、氷を入れて焼酎割を作ることになります。「薄目に」とか「濃くして」とか注文されると、「知るか! そんなのわかるわけねーだろ。適当だよテキトー」

会計は一旦新人が負担し、翌日に傾斜をつけて精算することになります。これも結構めんどくさいです。ポジションによって誰がいくら負担するのか異なっており、いちいち上司にお伺いを立てて、OKがでたら参加者に請求することになります。そして、振込が遅いと督促します。「それでもお前、銀行員か?」って毒吐きながら。

支店長がゴルフ好きで週末が潰れることもありました。ゴルフが好きでもなく興味もない私にとっては苦痛でしかなく、「はあー、なんで土日も職場の人と一緒にいることになるんだ」ガッカリしながら渋々付き合ったものです。

そして、どこかのテレビドラマで観た、支店長が打つたびに「ナイスショットー!」とか言うのです。支店長以外の全員が。テレビの中でのありえない世界だと思っていたのですが、実在していました。観るだけでなく実際に言うことになるなんて夢にも思っていませんでした。

ラウンドが終わるとお風呂、文字通り裸のお付き合いです。その日はずっと雨でコンディションも最悪。ゴルフは今でも好きになれません。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『これでいいのかサラリーマン』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。