しかし、その一方で(私はやりませんでしたが)、誰か信頼できる人や上司に「このような噂を立てられて困っているが、事実無根である」ことを、はっきりと申し述べて、万一の事態に備えて対抗策を取っておくことも非常に重要なのです。

隠れている首謀者の狙いは、「火のないところに煙は立たない」ということわざに集約できます。「噂」を聞いた人たちは「いくらなんでも、そんなことはないだろう」と思っても、その一方で「そんな噂があるということは、本当は何かあるのではないか」と疑ってしまうのです。

ここが、このゲームの恐ろしいところなのです。

このため、 表では「噂」を相手にしない毅然とした態度を取りながらも、その一方では、信頼できる人や関係者にしっかりと自分の無実を訴えて、相談をしておくことも大切になります。

最近、SNSなどを通じた無責任な誹謗中傷が問題になっていますが、それもこの「裁判所」のゲームなのです。ケースによっては、無責任な誹謗中傷を受けたことが原因で自殺を図るようなところまで追い込まれてしまうことも多いのです。誹謗中傷を受けたら、周囲に相談して対処することの重要性がおわかりいただけると思います。

繰り返しますが、「犯罪の告発」というような形でこの「裁判所」のゲームを仕掛けられると、仕掛けた側が「正義」の側となりますので、非常に厄介なのです。

私の場合は相手にせず、しばらく静観することだけで対処しましたが、場合によっては、静観するだけというやり方はあまりおすすめできません。

名誉棄損罪などの犯罪に該当する場合も当然あり得ますので、相手にしないという毅然とした態度を取るとともに、一方では、信頼できる人や関係者に訴えて相談をしておくといった、しっかりした対策を必ず講じておくことを考えていただきたいと思います。

「裁判所」のゲームの対処法

噂や誹謗中傷を相手にしないという態度を取りながら、必ず、自分の無実を信頼できる人や関係者に訴えて相談をしておく。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『心理学で職場の人間関係の罠から逃れる方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。