第2章 出会い

そんな伊藤に、本多は直感的に驚きを禁じ得なかった。

伊藤が

「本多先生、私は人間の脳の働きについていくつかの専門書を勉強したのですが、しょせん医学のことは素人ですので理解できないところが多くて困っています。私にもわかるように教えていただけないでしょうか」

織田が口をはさんで、

「ここでお2人がお会いできたのも何かの縁ですね。本多先生、この伊藤君にしばらく付き合ってあげていただけないでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが」

と引き合わせの道を付けた。

「私もAIのことを知りたいと思っていたところです。是非ギブアンドテイクとやらでこちらこそお願いいたします」

にこやかに言葉を交わして2人は握手をした。そこに織田が2人の手を覆いかぶすように両手で握りしめた。本多は

「伊藤さん、早速、私の研究中のものをお見せしたいので、お帰りの際、私の研究室にお立ち寄り願いませんか」

と、誘った。伊藤も

「是非お話をしたいです」

と、ご機嫌である。本多の後ろについて堀内と伊藤が部屋を出ようとするとき、伊藤が振り向き、

「織田さん、ひょっとすると永遠の命が得られるかもしれませんよ」

と、冗談とも本気ともとれる笑顔で病室を出た。

本多の研究室に伊藤と堀内が入るが早いか、ろくに挨拶もすることなく、本多が仮面ライダーのような被り物を持ってきて、

「伊藤さん、これ記憶再生機というんですが、被ってみてください」

伊藤が言われるままにその記憶再生機を被ると、目の前が大平原のように広がり、地平線のかなたまで青い空が広がっている。

「伊藤さんどうですか、今壮大な大自然が目の前に見えていますよね。何か想像してください」

伊藤が子供の頃家族で行った、湘南の海水浴場を思い浮かべると、昔懐かしい家族との場面が映し出される。伊藤の脳の中に潜在的に残っている子供の頃の記憶がスクリーンに映し出されるのだ。