省エネは「脱炭素」の基本中の基本

気候変動対策としての「脱炭素化」は、容易ではありません。例えば、主要な温室効果ガスである二酸化炭素は、私たち人間の営みに密接に関わっています。特に、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は、燃焼させることで大量のエネルギーを得るだけでなく、鉄やプラスチック等の製造にも用いられ、便利で快適な現代文明を根本から支えています。すなわち、現在と同じ質、あるいはそれ以上の社会生活を営むことと、気候変動によって生じるさまざまな影響を回避することの両立は、容易ではありません。

だからこそ、現代社会に生きる私たちは、将来にわたって同じ質、あるいはそれ以上の社会生活を営むことができるよう、さまざまな方策を組み合わせながらこの難題に取り組まねばなりません。そのような近代的かつ多面的な取り組みこそが、「脱炭素」あるいはカーボンニュートラルと呼ばれるに相応しいと、筆者は考えます。

「脱炭素」には、大きく分けると「抑える」「変える」「吸収する」の3段階のアプローチがあるとされています。すなわち、まずは可能な限りエネルギー需要の削減やエネルギー効率の改善でエネルギー消費量を削減したうえで、エネルギー自体の低炭素化とエネルギーの転換を進めるという段階を踏むことで、効率よく温室効果ガスの排出量を削減することが可能になるという考え方です。

このような考え方は、日本のエネルギー政策の根幹を為す「エネルギー基本計画」にも見て取れます。エネルギー政策というと、再生可能エネルギーの活用や、原子力政策の動向に注目が集まりがちですが、その前提として「まず徹底した省エネ」が謳われているのです。

省エネは、脱炭素におけるアプローチの中でも「抑える」、つまり基本中の基本であると言えます。省エネ無くしては、脱炭素社会の成功はあり得ない、と言い切っても過言ではないと筆者は確信しています。

[図表]脱炭素化における3段階のアプローチ