強く念じること

私は離婚前の数年間、いつもお風呂に入ると、夫と離れたときの空想をしていました。その時間だけが、私にとってワクワクする、楽しい時間でした。そのころはまだ、会社や身内のことで夫と離婚することは不可能だと思っていたので、本当に空想だけでした。

夫は自分の趣味には湯水のごとくお金を使うし、子どもの学費もかかる。私が自由に使えるお金などほんの少しでした。だから私は、自分の欲しいものなど怖くて買えませんでした。夫はいつも突然「〇〇が買いたい」と言うのです。それも、ものすごくくだらないものです。それを思うと怖くて自分のものなんて買えなかった。私がいくら「今回は買えない。子どもの塾の費用がかかる」などと言っても、彼は聞く耳を持たず、それどころか必死でネットで欲しいモノの情報を調べ上げて、ねちっこく解説を始める始末。私が折れるまで延々それを続けます。こんな苦痛を味わうくらいなら買ったほうがマシだと思ってしまう。そんなことの繰り返し。

だから私は、休日になっても買い物もできず、用事のない限りは家で過ごしました。休日なんていっても、まったく自由に過ごせなかった。子どもの送り迎えや家事で1日が終わる。そんなつまらない日常でした。

だからお風呂の時間だけでも、自由になれたときのことを空想していました。もし夫と別居できたら、あんなこともできるしこんなこともできる。羽が生えたみたいに自由に飛び回れました。そしてそれが日に日に具体的になり、そんなことを空想しているのが楽しかった。

このころは、自分の人生なのに自分で舵取りできないような不自由さがありました。そしていま、そのときに空想していたことが現実になりました。身も心も、ものすごく自由になりました。自分の力で、自分の思うように生きているという実感があります。自分のためだけにお金や時間を使い、自分のやりたいことが自由にできる。誰かに遠慮することもない。気兼ねもいらない。こんな幸せはありません。ものすごくありがたいことです。

だから私は、なりたい自分を思い描くことをお勧めします。いまは無理でも、近い将来、きっとそうなれる。絶対になる。強く思えば叶うのです。なりたい未来を引き寄せてください。あなたなら、きっとできる。人は変われる。必ず。

自分を大事にすること

いままでの結婚生活で、私は必要以上に我慢し過ぎていました。言えばいいのに言わない、やればいいのにやらない、時間もお金もない。がんじがらめで動けない。

でも別居して、少しずつ自分のやりたいことをやり始めました。自然に触れること、旅行に行くこと、カフェで過ごすこと、犬と遊ぶこと、カサンドラさんたちとの交流。どれも自分が好きで、やりたいことです。

いままでいろんなことを我慢し過ぎた。人のためだけに尽くし過ぎた。自分のためにお金も時間も使えなかった。人に合わせてばかりいた。これじゃあ、自分を大事になんかできません。どんどん自分が闇の底に落ちていきます。

この本を読んでくださっているカサンドラの皆さんは、きっとそのことに気づき始めている。だからこそ、何かを自分の力で変えていこうともがいている。自分で選んだ道を歩こうとしている。自分で選択することがとても重要なのです。それこそが「自分を大事にすること」。

そうしていると、どんどん自分にパワーがみなぎって、力が湧いてくるのです。何でもできるような感覚になりませんか? そう考えているときの自分がとても好きです。ワクワクします。

「自分が喜ぶことをする」こんな当たり前のことを、私たちはしてこなかったのです。できなかったのです。これからは、もっと自分を喜ばせてあげてください。もう、自分のために生きてもいいと思います。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。