川崎:悲しいけど現実としてその悩みを抱えた方は多くいますからね。これって精神疾患に限らず、高齢者が怪我や病気をしたらあとは介護対象者としての人生しかない……といった感じで選択肢が制限されてしまう問題と類似してますよね。

多くの方が、そんな状態だと病気で悩んでいる時って不安でしかたなくて、塞ぎがちになってしまいます。だからこそ、同じ悩みを経験した方の話ってけっこう素直に聞けて、希望になりますね。おおぜきさんは、病気を受け入れ、乗り越えたって感じでしょうか?

おおぜき:受け入れても乗り越えてもいないですよ。ただ、これまでは人生の汚点で消し去りたかった病気を抱えた日々が、今ではれっきとした仕事のツールの一部です。自分の病気に対する視点が良い方向に変わった感じですね。

ピアサポーターになる前は意地でも病気を隠し通していました。病気が自分の全てっていう感じでした。でも、ピアサポーターになってからはこちらからどんどん経験談を話しちゃいます。

開示することで自分自身の視界も広がるし、聞き手と語り手の両方の力で大きな元気玉、あ、ドラゴンボールね、を作れるのがこの仕事の醍醐味ですからね。

川崎:そうですね、視点が変われば、見え方も捉え方も変わりますからね。なんかおおぜきさんの意志の強さを感じます。話を聞いていて、おおぜきさんの取り組みが少しでも広まることで、心の支えというか、みちしるべというか、背中を押してくれるんだろうなって思いました。もっとピアサポーターの活躍の場が増えるといいですよね!

おおぜき:そうですね。近い将来、「ピア加算」というのが認められるようになります。つまり、ピアサポーターが一つの職業となるのです。

そうすると、ピアサポーターがもっと皆さんにとって身近な存在になると思います。この対談を通して、皆さんがピアサポーターに興味を持ってくださると嬉しいです。

川崎:ますます活躍の場が増えそうですね。今後のご活動も応援してます。本日はありがとうございました。

おおぜき:こちらこそ、ありがとうございました。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ナルコレプシーと生きる ー向き合い方から在り方へー』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。