(3)インタビューフォームの臨床治験における用量設定試験結果を見ます。そこでは40mg群の他に、10mg群、20mg群も試験をしており、その結果が表3(痛みの軽減度)のようになっていました。

[表3]第Ⅱ相用量設定試験

この結果からは10mg群および20mg群では『基剤群』と有意な差が見られないことが分かります(95%信頼区間が0をまたいでいる点やp値が0.05以上の点)。

(4)本剤は(2)から線形性の薬でしたので、20mg投与時は40mg投与時の半分の血中濃度になるはずです。従って40mg投与時で剝離後、血中濃度が半分になる1半減期経過後(8.6時間)では有効な血中濃度に達していない可能性が高くなります(つまり痛みが出てもおかしくない)。

③理論上の結論は…

ロコアⓇテープを剝離後、約9時間で鎮痛効果はなくなる(図7)。

[図7]血中濃度−効果の相関イメージ図

④では、剝離後、どれくらい経過したら鎮痛薬を飲めばよいのだろうか?

これまでの検討から「12時間(半日)経過すれば、定期服用可能とする。それまでに痛みがあれば頓用対応する」という提案をしました。

半日たてば、貼り薬の成分は元の量の38%以下になり、その後も減少する一方なので、定期薬を始めても副作用発生の可能性は無視できそうです。

⑤まとめ

薬の効果がいつまで残っているかという例でした。薬を切り替えるには前の薬の効果がいつまで残っているかを考えるのが大切ですが、その効果がなくなってから次の薬を使うのはツライときがありますよというお話でした。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。