それにもかかわらず、世界最大の(コストが最低の)ソーラーパネル・メーカーは、アメリカ・アリゾナ州に本社を置く米企業ファーストソーラー社です。一般的な結晶シリコンではなくテルル化カドミウム(CdTe)を使い、より低コストで様々な温度や太陽光の条件下でも発電能力の高いソーラーシステムを生産しており、ファーストソーラーの太陽電池はグリッドパリティを達成したようです。

グリッドパリティの目安は、太陽電池システムの生産コストにして1ワット当たり1ドルとされますが、アメリカのファースト・ソーラーの1ワットの発電能力当たりの製造コストは、2007年には1.23ドル、2008年には1.08ドルでした。それが2009年に1ドルの壁を突き破り98セントとなり、2012年に67セントになったことを発表し、2017年までに、太陽電池システムの1ワット当たりのコストはさらに下がり、40セント未満になることが見込まれています。

コスト低減の最大要因は生産効率の向上と規模の拡大です。実際にカリフォルニア州など1部地域でのグリッドパリティ達成が報告されました。まさに、太陽光発電革命が起きたのです。

ドイツの場合は、すでに述べましたように、2012年にグリッドパリティに達しました。ドイツ以外でも、イタリアは既にグリッドパリティが達成されているとの指摘もあります。ヨーロッパでは、2012~2020年には条件の良い国・地域から、既存の火力発電などと発電コストで競うようになると見られ、既に条件の良い国や地域では既存の電源と同等、もしくはより安くなり始めています。

また蓄電して独立型のシステムとして用いる場合は、蓄電池や他の電源を組み合わせた場合のコストで論じられます。

一方、途上国で送電網が未整備な場合、消費電力に比して燃料輸送費や保守費が高い場所など(山地、離島、砂漠、宇宙など)では、太陽電池システムが現段階でも他方式に比較して最も安価な電源として用いられています。今後もさらなるコスト低減が見込まれており、中長期的にはコストが最も安い発電手段になると予測されています。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。