第Ⅱ部 人間と社会における技術の役割

Ⅱ-2 技術の開発

1. 技術には目的がある

ここまでが製造に入るまでの工程ですが、いかに多くの手がかかっているかわかるでしょう。これだけのプロセスを経て、やっと各部品図に基づいて部品の加工が行われ、組み立てを行います。このように、新しい技術を作る際には、まず目的・目標を決めて、それを実現するための具体化を進めていくわけです。

設計から製作までの流れを説明しましたが、設計過程における中心的な考え方は図表1に示したように、目的や意義に基づいて決めた基本仕様(基本的な性能)を実現するために必要な機能を分析し、その機能を実現するための機構や要素・構造を考案していくことです。

写真を拡大 [図表1] 設計における思考の流れ

最初は大まかな構想から始まりますが、その構想のなかで求められる機能を分析し、それを実現する要素を考案していきます。そうすると構想がより詳細になってきますので、その構想のなかでさらに求められる機能を分析していきます。そして、より具体的な機構や要素、形状、寸法まで決めていくわけです。

このように必要な機能を考え、それを実現する機構、要素を決めるというやりとりを繰り返しながら、具体化を進めていきます。設計を進める上で、設計者が考慮しなければならない条件の一つが安全設計です。安全設計の重要な考え方として、図表2に示すフェイルセーフとフールプルーフがあります。

フェイルセーフとは、機械に異常が起こっても、安全な方向に対応するように設計することです。例えば、電車が走行中に異常が起こってドアが開いた場合、緊急に停止するようにシステムを作ることです。

一方、フール・プルーフは、人間がバカな操作をしても、事故などが起こらないように保障することです。例えば、電車の走行中に誰かがドアを開けるボタンを押しても、電車の速度が低速にならないとドアが開かないようにシステムを作ることです。どちらも安全を実現するために不可欠な考え方です。

写真を拡大 [図表2] 安全・危険に対する設計思想
※本記事は、2019年4月刊行の書籍『人と技術の社会責任』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。