三頭のワニの夢

フォールは、人けのない荒涼とした場所にいました。そして、三頭の恐竜のような巨大なワニが人々を追いかけているのを、遠くから眺めていました。ものすごく大きなワニで、人々は恐怖におののき、必死で逃げまどっていました。彼は怖くなり、ワニが彼のことも追いかけてきたので、襲われたら大変だと走って逃げました。

一目散に逃げ、外階段が付いている木造の小屋に隠れました。ドアの前には小さなベランダがありました。

中に入り、ドアを閉めたものの、まだ怖くて震えていました。そして、ドアに鍵をかけるのを忘れたことを思い出し、慌ててドアのところに行くと、物音が聞こえ、一頭のワニが既にドアの前にいるのに気が付きました。彼は恐怖で固まってしまいました。もう逃げ場がなかったのです。彼は恐怖で圧倒され、震えながら、2~3歩後退りしました。

すると突然、どこからともなく、彼の心に急激な説明しようのない変化が訪れました。どうしてそうなったのかはわかりませんでしたが、今や、彼にははっきり見えてきたのです。彼の心の目から、いきなり大きな鱗が落ちたみたいでした。自分が意味もなく怖がっていたこと、全く無駄なことをしていたこと、すべては単純であることがよくわかり、自分でも不思議な落ち着きをもって、ドアを開けたのでした。彼には、ドアの向こうにある「何か」を受け入れる準備ができていました。

※本記事は、2019年5月刊行の書籍『少年と天使たちⅡ 天使の導きのままに』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。