第Ⅱ部 人間と社会における技術の役割

Ⅱ-2 技術の開発

1. 技術には目的がある

技術を社会に使えるように実現しているのは企業です。技術の開発には必ず目的があります。ここからは、技術がどのように開発されていくかを見ていきます。企業(メーカー)における主な組織を図表1に示します。

写真を拡大 [図表1] 企業(メーカー)の組織

製品を製作する流れは、この図中央の調達→製造→試験→営業→販売ですが、商品を製作するまでには、市場調査や研究開発を基に事業戦略を立て、商品企画を立て、具体的な商品設計を行って、さらにそれを製造するための技術設計を行います。製造を支える組織が、品質管理、労務管理、安全管理などです。

さらに企業の人材を集めて配置する人事部、会計処理を行う経理部、知的財産を管理する知財部などがあります。商品企画から設計、製作までの流れを図表2に示します。

写真を拡大 [図表2] 商品企画から製作までの流れ

まず、新しい商品の企画から始まります。企業の事業戦略に基づいて、需要動向や既存の製品に対する顧客の要望などを調べ、ニーズに合うと考えられる商品を企画します。その商品が何を実現するものか、コンセプトを明確にします。

次に、開発した商品がどれだけ市場に受け入れられ、どれだけの販売が見込まれるかを考え、開発のための投資を回収して収益を上げる事業計画を立てます。これらを確認した上で、構想設計に入ります。開発する商品の目的、必要な性能を明確にし、それを実現する構想をポンチ絵(構想図)として表します。

そうして目的を明確にして、それを実現する計画を立てていきます。構想を立てた後、開発スケジュールを決めます。そして、詳細設計に入っていきます。構想で考えた基本的な構成や機構について、より具体的な機構・構造の設計を行い、購入する要素や使用する部品、使用する材料などを決め、詳細な寸法まで決めていきます。

目的とする性能を実現するための動力計算や強度計算などを行います。全体の詳細なシステムが決まると、部品を製作するための部品図を作成します。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『人と技術の社会責任』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。