さらに、自然出産を希望する女性は「助産所」での出産を選択すると考えられるため、1995年以降の「助産所」の出生割合の年次推移も調べたところ、「自宅・その他」の場所での出生と同様、1995年の0.94%から増加し、2004年の1.02%まで増加しその年をピークに減少の一途を辿り、2019年には0.49%と、15年間で2分の1以下にまで減少しています。

出産の歴史的変遷を辿れば、「取り上げ婆」そして「産婆」が、生活の営みの中で出産の介助にあたってきました。これは現在の助産師の大半を占める、病産院で勤務し医療の管理下で行う出産を介助する勤務助産師ではなく、おおよそ地域の中で自然出産を扱う開業助産師に相当します。

開業助産師は、「助産所」もしくは、「自宅・その他」の場所で出産に立会います。

そこで、改めて、「助産所の出生の中での助産師の立会いによる出生(「助産所」での出生の立会い者は「医師」、「助産師」に分類されている)」と、「自宅・その他の場所での出生の中での助産師の立会いによる出生(〈自宅・その他〉の場所での出生の立会い者は「医師」、「助産師」、「その他」に分類されている)」を合わせ、これを「開業助産師の立会いによる出生」とみなして全出生数に占める割合の年次推移をみると、これも「助産所」の出生同様に、1995年(0.91%)から2004年(1.05%)まで増加し、その後減少の一途を辿り、2019年は0.46%まで減少しています(図2)。

[図表2]全国の助産所・自宅・その他の場所での助産師立会いによる出生割合の年次推移 出典:厚生労働省人口動態統計 表の作成:筆者

これは、ここ15年間の助産所の衰退が浮き彫りになったとも言える状況です。

かつて、産婆不在の地域で無介助分娩が行われていたことを考えると、無介助分娩の増加は開業助産師の立会いによる出生の減少、すなわち助産所の衰退と関係があるのではないかと考えられます。

プライベート出産は無介助分娩の一部です。したがって、無介助分娩の数値をプライベート出産の数として当てはめることはできません。

しかし、年々助産所が衰退し開業助産師が不在となってきたことで、開業助産師の立会いによる出産を選択することができないために、プライベート出産を選択する人が増えているのではないかと考えられます。

 
※本記事は、2021年9月刊行の書籍『私のお産 いのちのままに産む・生まれる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。