高知医大を六十四歳で辞職して帰京し、東京都老人医療センター(現東京都健康長寿医療センター)に勤務しましたが、それからは口唇ヘルペスが全く出なくなりました。

単純ヘルペスウイルスは脳神経の一つである三叉神経節にとどまり、これを潜伏感染と呼びます。疲労、風邪、ストレス、紫外線、生理などで体の免疫力が下がったときに唇や口の周りにウイルスが移動して発症します。

それはストレスの象徴であり、副腎からコルチゾールが分泌されて免疫力が低下します。

ストレスが全くない生活はありません。どんな人でも何かしらのストレスがあります。これをうまくコントロールするのが、健康長寿の道です。

それには前向きに楽しく生きるという生き方が、最もすぐれた予防法と思っています。

要約

私の生い立ち、家族歴、既往歴、学歴、恩師、病歴などをまとめてみました。

健康長寿の道はここから始まりました。顧みると、私は本当に恵まれた人生を歩んできたと思います。

番町小学校、城北中学、名古屋陸軍幼年学校、旧制成蹊高校、東大医学部と、最高の教育を受けました。冲中重雄先生は、識見、人格が共にすぐれた恩師でした。

こうして私は老年医学つまり年寄りの医学を専門とするようになりました。

はじめのうちは、老年内科医となってどうなるか、見当もつきませんでしたが、現在はこれが健康長寿の道だと思っています。

第一章はその序曲です。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『健康長寿の道を歩んで』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。