対という考え方

ここで、コーチングが伝える2つの面について、少し触れておきましょう。

コーチングで伝える2つの大切なコンセプト。それは、BeingとDoing(Becomingとも言います)です。

Beingは、静のエネルギーを指し、人の心の状態やあり方を意味します。兎角私たちは、何をするか、という軸で物事を考えがちですが、その前に、どんな自分でありたいか、といった問いを考え、自分の心の状態やあり方を整えることは大事なことです。それこそが、このBeingを磨くことです。

一方、Doingは動のエネルギー、つまり行動を意味します。最初の一歩を踏み出し、物事を前に進め、実現することがこれにあたります。

私たちは誰しも、どちらか一方に偏りがちですが、この2つが得も言われぬバランスをもった時、人の成長は自然に起こってゆきます。お分かりの通り、Doingに偏っていた私は、自分のBeingを磨くことで、本来の自分を取り戻していったのです。

この2つのコンセプトを活用しながら、コーチングを実践することは、とても効果がありました。私のように行動して前に進むことに躍起になっていた人が、心の状態やあり方を磨いてバランスを取り戻すと、穏やかさ、心の安定、自信、やる気が高まり、その後の行動をより一層力強く確かなものにすることを、クライアントの方々が次から次へと見せてくれたのです。

逆に、力があるのに前に進むことに恐れや躊躇のあるクライアントの方々が、バランスを取り戻し、勇気をもって行動を起こすことで、本人もびっくりするほど大きく飛躍していったのです。

私は、毎回、その変化に触れることで、感動と嬉しさを感じていました。そして確信したのです。やはり、2つのバランスは、人の成長と変容の鍵になるのだと。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『ツイン・エネルギー™ 静と動のバランスを整える16の考え方』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。