コーチングの基本的な考え方は、「答えは自分の中にある」です。この考え方を知った私は、当時、どれだけ力づけられたことでしょう。その後の私は、言うまでもなくコーチングを学ぶことに没頭しました。ご縁もいただき、ほどなくコーチングを教えることになってゆきます。

ふと気がつくと、具合の悪かった自分がいたなんて記憶にないくらい、すっかり体調も良くなっていました。そして、がんばりすぎることが、どれだけ心身ともに自分を痛めつけることなのか、身に染みて学んだのです。

こうして、半ば強制的に「がんばる私」を手放すことになった私は、その後、逆の自分を磨いてゆくことになります。それは、前に進もうとするのではなく、今ここにいる自分。何かをやり遂げたから良しとするのではなく、何もしなかったとしても満ち足りている自分。外側に答えを見つけるのではなく、内側に答えを感じ取ろうとする自分。

このもう1人の自分磨きは、私にとって時に難しくもありました。なぜなら、おかしなことですが、気を抜くとすぐに、がんばってなんとかする自分がでてくるのです。ですが、次第に慣れてくると、もう1人の自分も自然になり、平凡な日常の中に穏やかさと歓びを感じるようになっていったのです。

奇しくも、コーチングを実践し、教えることが、このもう1人の自分磨きを強く後押ししてくれました。なぜなら、コーチングは、私に足りなかったもう1人の自分磨きを大切にし、2つの面から人の成長を支援していたからです。そうやって人を支援するのであれば、偏っていた自分から、バランスのよい自分へとシフトすることは必須でした。