ジュネーブは小さい町です。人口は20万人ぐらい、ヨーロッパ最大(と言っても琵琶湖より少し小さいくらい)のレマン湖から地中海に注ぐローヌ河が流れ出すところにあります。1535年に宗教改革を機にカトリック司教を追放しプロテスタントの共和国となり、フランスから亡命してきたカルヴァンを迎えプロテスタントの中心地となりました。その後も1685年のナントの勅令の廃止を機にフランスから大量の亡命新教徒を受け入れるなど独立した共和国として栄え、ナポレオン支配が終わった1815年に最後の連邦加盟州としてスイス連邦の一員になりました。

最大の観光名所はカルヴァンが1536年から亡くなる1564年まで説教をしたサン・ピエール教会でカルヴァンが座った椅子が残されています。ただ質素・勤労を旨としたプロテスタントの教会らしく、装飾は少なくシンプルな建物です。その他には旧市街、市役所、サンジェルマン教会、旧武器庫、数多くの国際機関等ですが、面白かったのはジュネーブで最も古い家と言われるタヴェル家(Maison Tavel)で、その中に城壁と堀で囲まれた中世のジュネーブ市のミニチュア模型があり、戦乱の中で自由と独立を守った共和国の気概が伝わってくるようでした。観光上の問題の1つは、ジュネーブがフランス語圏であるため説明書・掲示等がフランス語であり、英語しか分からない語学音痴は非常にもどかしい思いをすることです。

 

というわけで、以上モンブランには登っておりません。某メガバンク行員のAさん、モンブラン登頂記とエギーユ・デュ・ミディからのダウンヒル滑降記を電子メールで寄稿しませんか。楽しみにしています。そういえば皆さん、Aさんから先月のプラハ紀行に関し訂正依頼がありました。Aさんのモンブラン登頂は1991年、40歳記念だそうです。謹んでお詫びします。

ヨーロッパは、歴史、文化の深さがアメリカやオーストラリアと比べ物にならないだけでなく、自然の美しさもでも負けません。お陰で単身赴任の侘しさも今までのところ、それなりに紛れています。今週は木・金のデュッセルドルフ支店出張のあと、月・火の2日間年休を取り、ドイツのドレスデン・ベルリン観光をする予定です。

 
 
※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ヨーロッパ歴史訪問記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。