そこから(かえ)るときにその(おとこ)(ひと)が、

宿題(しゅくだい)()しましょう、()()くのん()きなんやったら、毎日(まいにち)()一枚(いちまい)()こう、それを今度(こんど)()(とき)()ってきてください」

()った。なんか()らんけど、(おれ)はすごくやる()んなった。元々(もともと)()()くのは()きで、小学校(しょうがっこう)時代(じだい)毎週(まいしゅう)アトリエに(かよ)ってたし。(かえ)(みち)早速(さっそく)おかんが(さら)のノートを()ってくれ、(おれ)毎日(まいにち)()一枚(いちまい)ノートに()()した。()きな()(もの)をテーマにして。

毎日(まいにち)やることができて、とにかく(いえ)では宿題(しゅくだい)をせっせと()(つづ)けた。おかんはフルタイムで(はたら)いとったから、(いえ)には日中(にっちゅう)(だれ)もおらん。自分(じぶん)のペースで()きな()()くことに没頭(ぼっとう)できた。

おかんには、

「ずっと(いえ)におるんやったら、なんか手伝(てつだ)って」

()われ、とりあえず洗濯物(せんたくもの)をたたむのと、あとはみそ(しる)(つく)ったりした。そんな(おれ)に、出来(でき)()()きでおかんは、

「ありがとう」

といつも気前(きまえ)よく()ってくれた。(おれ)(いえ)(やく)()てることがあって、その一言(ひとこと)はとてもうれしかった。

それからは、(つき)何回(なんかい)かおかんと(おとこ)(ひと)のところへ相談(そうだん)()き、(かえ)りは(かなら)ずどっかで(めし)()って(かえ)った。おかんは(はたら)いてたから、結構(けっこう)内緒(ないしょ)でええもん()わせてくれた。

(じつ)はこの()(かえ)り、(おれ)はおかんと()をつないでたらしい、(おぼ)えてへんけど。あとでおかんは、

(した)のきょうだいがすぐ()まれたから、その(ころ)(あま)えられへんかった(ぶん)(いま)()(もど)してるんかなあと(おも)ってた」

()って、もう中学生(ちゅうがくせい)(おれ)()()りほどかずにつないでてくれてたらしい。


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※本記事は、2021年7月刊行の書籍『子どもが不登校になったら』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。