ある時に──

ほのかに揺れる君の髪

洩れる吐息の甘き匂い

そして、ああ、ふるえる赤き唇

全ての記憶の遠のいて行く時──

重くたわわな白き胸

赤きぶどうを口に含めば

強くかき抱きうめき行く

君よ、君よ、美しき女よ

柔らかく魔のごとき肌

我をとりこにして

もはや逃れる術もなし

よせる眉根にふるえる我

寄せ来る波に揺られる如く

恍惚の時の過ぎ行く──

 
※本記事は、2021年7月刊行の書籍『黒い花I』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。