第2章 リズムメイク

4. 編集によるリズムメイク

マッチカットとカットアウェイ

映像リズムの3要素のなかで代表的な「編集によるリズムメイク」について深く解説をしていきます。編集によるリズムメイクは、つなぎ方によって「どれだけ安定と刺激を生み出すことができるか」が技術の要になります。

映像はカットとカットをつなぎ合わせて構成されていますが、大きく分けると「マッチカット」と「カットアウェイ」の2種類に分類することができます。

〈同じ要素でつなぐマッチカット〉

前後のカットに同じ要素が含まれているつなぎをマッチカットといいます。共通性が多いため、刺激が少なくスムーズなつなぎになりやすい手法です。

[図1]マッチカット

〈メリハリのあるカットアウェイ〉

前後のカットに同じ要素が含まれていないつなぎをカットアウェイといいます。共通性が少ないため、刺激が強くメリハリのある0つなぎになりやすい手法です。

[図2]カットアウェイ

マッチカットの種類

マッチカットは前後のカットに同じ要素が含まれているつなぎのことですが、この同じ要素には「同じ被写体」を指す場合と「同じ性質をもった別の被写体」を指す場合があります。

被写体は違えど、形、色、動き、意味などの共通性でつないだ編集は、違和感と刺激が少なく比較的スムーズな流れになります。マッチカットも共通性によっていくつかに分類ができます。

〈オブジェクトマッチ(同じ被写体でつなぐ)〉

マッチカットで最も一般的に使用される手法です。フルショット(全身)の次にバストショット(胸から上)をつなぐなど、主に「引き」と「寄り」の画で編集されます。共通性が高く、状況もわかりやすくなるため、穏やかで自然なリズムを求められる場合に多用されます。

[図3]オブジェクトマッチ

ジャンプカット

同じ被写体でも同じサイズ、同じポジションでつなぐと時間が飛んだように見え、違和感を感じます。インタビュー映像などであれば若干許容されますが、映像の定石からいえば本来避けるべき編集手法です。

[図4]ジャンプカット

〈シェイプマッチ(同じ形でつなぐ)〉

同じ形という共通性があれば、まったく違うものでも「同じような物」と脳は錯覚します。シェイプマッチは、同じような形、サイズのカットをつなぐことによって流れをスムーズに感じさせるつなぎ方です。まったく違うカットなのに、編集による違和感が少ないため独特のリズムを感じさせることができます。

[図5]シェイプマッチ

〈モーションマッチ(同じ動きでつなぐ)〉

たとえば、先行ショットを右パンの途中でカットを切り、後続ショットは右パンの途中からカットをつなぎます。このとき前後のカットで場所が違っていても、動きの方向性と速度がマッチしていればスムーズにつながります。モーションマッチは場面転換でよく使われる編集手法です。

[図6]モーションマッチ

〈ミーニングマッチ(同じ意味でつなぐ)〉

ビジュアル面で共通性がなくても連続するカットの意味が共通していれば、脳は共通性が高いと認識し、カットのつながりをスムーズに感じます。

[図7]ミーニングマッチ

たとえば、以下はビジュアル面での形やサイズ、動きに共通性はありませんが「自然」という点で共通性があります。このように意味に共通点があれば流れはスムーズに感じます。

以下は3カット目にビルの画を入れてみました。「自然」という共通性が薄くなり流れに引っ掛かりが生じます。よくいえば刺激的、わるくいえば混乱する編集となります。

[図8]3カット目に共通点のないビルの画をあえて入れた例

編集によるリズムメイクのポイントは、つなぎ目の共通性と差異量による刺激のコントロールです。

激しいリズムで興奮させたいなら差異量を多くし、状況がわかりやすく自然なリズムを作りたいなら共通性を高めていきます。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。