健康長寿のもう一つのキーワード「HSP」

HSPとは何か? 誰もがもっている細胞を守るシステム

HSPとは、Heat Shock Protein(ヒートショックプロテイン=熱ショックタンパク質)の略語です。体がストレスにさらされた際に、細胞を保護するはたらきをすることから「ストレスタンパク質」や「ストレス防御タンパク質」とも呼ばれています。

水島徹みずしまとおる先生の『HSPと分子シャペロン』(講談社刊)という本に、アルツハイマー病を根本的に治す方法について書かれています。

目次をざっと見ると、「HSPでアルツハイマー病を根本的に治す」「フォールディング病にもHSPは有効である」といった項目があり、さらにその本には、加熱により固まるはずのタンパク質が、あらかじめHSPを加えておくと加熱しても固まらないことが紹介されています。

ゆで卵を思い出していただきたいのですが、ゆで卵のようにタンパク質を加熱するとタンパク質が変性して固まることは、みなさんもよくご存知だと思います。しかし、先にHSPを加えておくと、加熱しても卵は固まらず、さらには、いったん固まった卵にHSPを添加すると卵が溶けるというのです。

ということは、いったん変性して固まったタンパク質はもとに戻ることはない、「不可逆的」と思われていた常識が覆ったことになります。もし、HSPを高める方法がわかれば、不治の病とされてきた認知症、特にアルツハイマー病の根本的な治療への道が開かれる可能性も見えてくるのではないかと思われます。

それだけではありません。現在では治療の施しようがないと考えられている、その他のいろんな疾患にも応用できる可能性にも期待が高まります。私がHSPに興味を持ちはじめてからしばらくすると、テレビやラジオ等のマスコミでもHSPについて頻繁に取り上げられるようになり、さらには医療関係者の間でもだんだん認知されるようになってきました。少し前になりますが、2011年5月には、NHKの情報番組でも取り上げられました。番組では次のような実験をまじえて、HSPのはたらきを紹介していました。

・HSPは細胞を強化する物質である。

(例)トマトを先に38°Cで温めておくと、4週間たってもつやつやしている。

(例)レタスを先に50°Cのお湯に入れると、2日ほど日持ちが長くなった。

・HSPは免疫機能の制御に重要な役割を果たしている

等々。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。