太陽光発電でも、ドイツはトップランナーとして快走を続けています。太陽光発電では、かつて日本は今とは比較にならないほど小さな市場であったものの、世界一の規模を誇っていました。その日本をはるか後方に抜き去ったドイツは、2010年のたった1年間で、740万キロワットもの太陽光発電機器が設置されました。これは設備容量で原発7基分、発電量でも1.5基分に相当しました。

さて、そこでドイツではいつ家庭用電力料金と太陽光発電システムの発電コストが等しくなるグリッドパリティに達したのでしょうか。2012年の電気料金は24.68ユーロセント/キロワット時(約27円/キロワット時)で、太陽光発電に対する固定価格買い取り制度の買い取り価格は、28.74ユーロセント/キロワット時でした。この2012年には家庭用電力料金と太陽光発電システムの発電コストが等しくなり、グリッドパリティが達成されました。

太陽光発電がグリッドパリティに達しますと、政策上の支援が全くなくても、市場原理だけに従って普及が進むようになります。

ドイツの再生可能エネルギーは二酸化炭素の削減に寄与する一方で、雇用を新たにつくり出すことにも役立ちました。ドイツでの環境経済効果は5兆円規模に達し、37万人もの雇用を生み出し、地域活性化という面でも役立ちました。ドイツでは地域の人たちがみずから再生可能エネルギー設備の所有者となることが多く、目立った産業がなかった地方で再生可能エネルギー産業が花開き、地方経済が潤うことも少なくありませんでした。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。