先生は、矢の先端に集中するあまり、顔が長く伸びて、どんどん伸びて、ついには、矢になってしまったのです。

顔が矢になっちゃった!「あれまぁ、顔が矢になっちゃうなんて!」とフォールは思いました。そして先生が完璧に矢を射た時、学生たちは全員大喜びでした。

既に朝になっていました。フォールはウキウキした気分で目が覚めました。

夢の意味を理解するのが難しいことも時にはありましたが、今度ばかりは、疑いようがありませんでした。夢が何を教えているかを、彼は正確に理解したのです。

「どうやって集中すればいいか、どうやって焦点を合わせるか、どうやって目標にたどり着くかをイメージで教えているんだな」と彼は思いました。「あんなにはっきりと、『矢になって』……『矢になれ』と教えているんだ」

「うわぁ!最初の夢では、連続殺人犯の心の中に入り、次の夢では先生の意識の中に入っていたなんて。どういうわけか、心と意識という二つの視点が一つになっていたな。だけど、先生の意識の中には、考えみたいなものはなかったな。的に当てなくちゃ、狙いを定めなくちゃ、ああしよう、こうしよう、みたいな考えは一切なかったな」と不思議でした。「あれは完全な『無』だった。あるのはただ、矢の先端だけだった。だから先生は矢になれたんだ。いっときに一つの思考になりきることなんだな」と彼は納得しました。

「朝のほうが調子良さそうだね、フォール」と、いつものようにどこからともなく、至高の神の声が響いて来ました。「集中することの大切さがわかったかね?」