「ほう! 一撃ですか。和清殿! 貴殿は良い後継ぎに恵まれましたなあ。倅は書物や歌にしか興味が無くてなあ。貴殿がとても羨ましい」

「おやじ殿。何もこの様な席で……」

ばつが悪そうに保些が言う。

 

祝宴も中ほどまで進み、保些は羅技の何気ない仕草を見るうちに、「やはり女?」と疑問を抱くようになった。

「御顔立ちは女の様でまことに美しいですなあ~」

家臣の一人が何気なしに口にした一言で、保些はさらに疑いを深めた。羅技の何気ない仕草が女に見え、心の中で「羅技殿は男だ」と言い続けていた。

ところが、羅技はそと人達のひそひそ話に思わず笑みを浮かべている。

「私には羅技殿は女に見える!」

保些が口火を切ると、

「そう言われてみれば……まさか?」

「十六歳の男にしては身体つきがきゃしゃで、まるで女子に見えます。が、しかし、猪を木の棒で仕留めたのは事実」

と、阿修の者達も口々に言い始めた。

すると、羅技はすくっと立ち上がり、ふわりと飛び上がると、同時に剣を抜いて保些の喉元に突き立てた。

「あっ」

驚いた保些は、手に持っていた杯を落とした。