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なぜ日本企業のデジタル化は遅れたのか

日本企業において、なぜこれほどデジタル化が遅れてしまったのか?

日本企業には、自社のビジネスにテクノロジーを活かそうという意識が海外企業と比較すると低いのではないか、という意見を聞いたことがあります。

日本では、現場の人たちの経験や知見によってビジネスを円滑に運営し、売上を伸ばそうという職人的で、かつ属人的な対応が一般的でした。今でもこの風潮や雰囲気は、根深く日本企業には残っているのではないでしょうか。古い歴史のある企業ほど、その傾向が強いとも言えるでしょう。

こうした職人的・属人的な風潮や雰囲気がすべて悪いということではなく、日本企業の大変優れた良い面でもありますが、デジタル化という切り口から見ると、残念ながらこの点が阻害要因となってしまいます。

こうした古き良き特質によって日本企業は、市場が一定に拡大している局面では、この人海戦術的な現場対応力を大いに発揮し継続的な成長を達成することができました。

1980年から1990年初頭のバブル経済の崩壊までは、まさにこの路線で成長してきました。今となっては汗顔の至りですが、「この現場での擦り合わせ的な対応力こそが日本企業の強み」であると、筆者もビジネススクールのケース・ディスカッションの場で豪語した記憶もあります。