5章 私の家族

姉と弟はいつも私を優先してくれていた。そのために友達たちと遊びに行けなかった。外泊した時も同じだ。二人はすべて私の都合に合わさなければなかった。

弟が手足口病になった時、私に伝染ってはいけないと弟は無理矢理入院させられた。しかし、二人は私に愚痴や怒りを一度もぶつけたことはない。姉と弟には本当に申し訳なかった。

だが、私が病気になったことについて、二人とは一度も話したことはない。私が「病気になってごめん」と言ったこともない。二人も「大丈夫。迷惑なんて思ってないよ」のような湿っぽい会話は一度もしたことはない。

仕方のない事なので、姉弟間の暗黙の了解になっている気がする。

姉は独立した決断力のある女性だが、弱虫さんなところもある。嫌なことは後回しにする。注意される事が嫌いで我が道を行く。そして、人目を全く気にせず自分の気持ちを大事にできるカッコいい人だ。

姉は私を客観的に見られる、正直に厳しく注意してくれる私のアドバイザーだ。そして、「働かざるもの食うべからず」の姉の精神で、できることは私にさせた。

私が困った時は、姉は絶対に救いに来てくれる味方だ。姉は口数が少ないが、こっそりと優しい人だ。

弟は元気な笑顔がカッコよく賢く思いやりがある。いつからか弟が兄のようになり、まれに励ましの言葉をくれる。

弟が私のために何かをしてくれ、「めっちゃありがとうな」と言うと、弟は「ほんまやでぇ、もっと感謝しろ」と笑ってくれる。どんなに忙しくても、私が弟を必要とした時は必ず時間を取ってくれる。

弟は父に似て先回りして私を守ってくれようとする。弟にも過保護にされている。

その弟が二〇一六年九月についに結婚したのだ! ちょっと天然なほんわか優しい義妹ちゃんと、やがて世界一べっぴんさんでとにかく賢い姪っ子ちゃんが家族に加わった。家族みんなが姪っ子ちゃんの虜になっている。

家族の中で私はどんくさいのレッテルを貼られている。特に姉はすぐに私を注意し、弟はうんちくで私を攻めてくる。上から下から押され、私は中間管理職のサンドイッチ状態だ。

しかし、そのポジションが意外となかなか居心地が良かったりするのだ。なぜなら、二人にサンドイッチで挟まれて過保護にされ愛されているからだ。

しかしながら、どんくさいのレッテルをいつかは払拭したいと密かに計画している。

忘れていたが、私には歳上のユニークな優しい従兄がいる。私がまだ病気になる前に私の家族と一緒に水族館に行った時、従兄はイルカに手を思いきり嚙まれたのだ。今でも彼の手には傷跡が残っている。

正確には、彼がイルカに手を持っていったのだ。姉も私も、まさかっ!?とぶったまげたのを覚えている。今でも「イルカに嚙まれた少年」と言われている。気の毒だが一生言われ続けるのだろう。

こんな従兄も含めて、祖母、両親、姉と弟みんなが私の病気を治すことに一丸となって協力してくれたからこそ今の私がいるのだ。

※本記事は、2018年9月刊行の書籍『車イスの私がアメリカで医療ソーシャルワーカーになった理由』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。