しばらくすると、彼女から連絡があり、集客してビジネスをしたいライバルが現れたと聞いた。その人は500万円出すそうで、先生の心が揺れている、と。私は初めて先生に怒りの電話を掛けた。

「なんか成り行きが詐欺みたいだ。払った150万円は返してくれるのか」

と。すると先生は遂に折れて集客の権利は私たち二人で買い取ることとなった。千夏からお礼のLINEが来て、

「もっとお金を出さなくて済んだ。ありがとう。でも、先生をあまり責めないでね」

と帰ってきた。しかし、千夏はおっちょこちょいらしい。1ヵ月も経たないうちに連絡がきて、バイナリーオプションの集客、宣伝に使っていたTwitterのアカウントが凍結されたらしい。私が、

「もう、集客はできないのか?」

と聞くと、

「もう一個先生の集客に使っているTwitterアカウントを買いたい」

という。後から先生に聞いた話では、千夏は注意されていたにも拘わらず、引き継いだTwitterアカウントで同じような投稿を繰り返したり、いろいろな人にフォローを繰り返し、運営から業者だと思われたようだ。結局、千夏が先生と交渉して一人75万円を払い、もう一つのアカウントを買う羽目になった。その際、先生は、

「千夏はやる子だから、バイナリーオプションでも熱くなって次々とエントリーしていた。次はこうならないようにしっかり釘を刺しておく」

と言い、実際、千夏から1時間以上経ってから、

「1時間も注意されちゃった」

とLINEがきた。ちょうどその頃、クリスマス目前だったため、

「サンタさんが集客用のTwitterアカウントを持ってきたらどうする?(笑)」

と聞いてみると、

「サンタさんにお酒を飲ませてあげる! そうなれば本当に嬉しい」

と言っていたので、

「サンタさんにお酒呑ませたら危ないよ(汗)」

と突っ込んだが、本当に嘱望していることがわかり、彼女の本気度が伺えた。また、後に千夏から

「昔は一日200回以上エントリーして、借金もしていた」

と言われ、

「先生から聞いてるよ(汗)」

と言うと、

「バレてたか」

と笑っていた。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『バイナリー彼女』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。