試験は、問題として苦情の二事案が出されて、この二事案についてどのような方法で苦情処理を行うか、法律に沿って文書で回答する内容である。字が下手で大きな字となってしまう傾向のある私にとっては、つらいものである。この試験には、緊張もせず臨むことが出来、何とか合格することが出来た。

特定社会保険労務士になると個別労働関係の当事者が、都道府県労働局の「紛争調整委員会」「社労士会労働紛争解決センター」等のADR機関にあっせん申請をする場合(また、あっせん申請等の相手方となった場合)、これらのADR機関におけるあっせん等の手続きについて、紛争の当事者を代理することができる。

あっせん、調停の場での代理者の行為が、そのまま依頼者の権利義務につながるものであり、依頼者のリスクは大きく、代理人の責任は重い。そのため、業務を行うにあたり、今以上に倫理について厳格化し、自らの行動を律しなければいけない。

特定社会保険労務士試験に合格し、今後、受験したい資格はない。現役時の地方勤務では、入居する建物の管理を含めた拠点長を行っていたため、建物の管理に関する資格は、会社からの指示で全て取らされていた。そのため、四十代には定年後は、建物の管理もできるしと会社に感謝していたが、当時は、まさか、定年後に社労士になるとは夢にも思わなかった。

特定社会保険労務士に憧れていたのは、ADR法が制定された当時、その内容を新聞で読み、「苦情を裁判に持ち込む前に短時間で解決される便利な方法であり今後日本で普及するであろうADR法」という制度が不思議に脳裏にあり忘れなかった。自分でも、そのようなことが出来れば素晴らしいと思っており、その受験の資格要件を満たしたと同時に受験した。

法律通りに行かないこともあり、この世は不条理なことが多い。人間社会、法律ですべて解決できれば簡単である。情が絡む上司関係は難しい。各会社での文化があり、過去からの取り決めがあるから労働紛争は特に厄介だ。しかし、合格したからには、困っている人のために頑張りたい。