川崎 やっぱり頼ることか。そこには、一方的に頼るのではなく、山本さんの頑張っている姿勢が伝わったから協力が得られたんですね。

山本 それと、もう一つ。病気と分かって、四年くらいたった時になるこ会の総会に参加し、私より苦しんでいる人もいて、私は周りにもとても恵まれているんだなって、周りの方々へとても感謝できるようになりました。

その頃かな、ナルコレプシーは現在の医学では治る病気ではないから、それと上手く付き合っていくしかないと割り切れるようになっていき、病気で精神的に苦しんでいたところを乗り越えられるようになりました。病気のせいであって、自分のせいじゃないと割り切れるようになれました。

川崎 患者会の当事者同士の関わりって本当に救われる部分もあるし、参加してみて新しい気づきとかもありますからね。この頃の山本さんは、「服薬することで眠気のコントロールもできてきて、会社でも理解を示してくれる方々もいた。気持ち的にも乗り越えた」という状況で、働くには十分といえば十分な気もしますが、なんでそこから独立をするってことになるんですか?

山本 薬を服用すると、確かにマシにはなるけど、それでも、毎日会社で眠気と闘って、トイレで仮眠をしての繰り返しでした……。その生活では体力をたくさん消耗し、自分の身体に鞭打っている感覚だったんです。

川崎 確かにその感覚分かります。コントロールしているとはいえ、健康な方と同じように働くには、それなりに負担がかかりますもんね。

山本 ですよね。それに年齢的にも、将来結婚をして、子育てをしながら、今の生活をやっていける自信がなく、結婚前に、独立をして、自宅でできる仕事に切り替えて、働き方を変えようと決めました。あと、人生一度きり、病気で人生を振り回されたくないし、やりたいことをやる人生にしようと思ったからですね。