「もちろんですとも。あの男の人の心のもがきを、ひどい抵抗を、ぼくも感じたし、その後の心の膨らみまで、ついにすべてを手放し、心の平安を見出すまでの動きを感じることができたんです。それはすごかったです。奇跡が起きた時、その男の人が『愛している』という言葉を絞り出した時、ぼくは、あらゆる縛りが解かれたのを、『愛による受け入れ』を感じました」

「それは、さぞかし素晴らしかっただろうね」

と、守護の天使エムは優しく言いました。

「そうなんです。ぼくには思いもよらないことでした。それに……」

フォールは自分を抑えることができませんでした。言葉が溢れてきました。

「……それに、癒しの奇跡です、エムさま。男の人の心から愛が、闇を照らす光線のように、溢れ出てきて、彼の体中の細胞を照らし、それはもう、荘厳というか、本当にすごかったです!」

「それはすごいね! でも、落ち着いて。まだまだこれからだよ」

とエムさまは宥めました。フォールは、あの連続殺人犯に、あの女性に、エムさまに、自分自身に、そして、すべての人に対して、心の中に愛が膨らんでくるのを感じました。

「愛とは、こんなにも気持ちのいいものだったんだ! 愛の感情って、こんなにも素敵だったんだ……あれ? エムさま、今なんて言った? まだまだこれからだって?」

「至高の神さまなら、それくらい当たり前だろ?」

と天使エムは、いたずらっぽいウインクをフォールに投げかけるように答え、姿を消しました。