本稿で提唱する「PBCグラフ」について

P/Lの経費内訳や、B/Sの残高(移動)内訳、そしてCFの活動内容内訳は、それぞれ分析することが必要ですが、本稿で提唱する「PBCグラフ」の目的は、キャッシュの面で自社の大まかな構造を把握することです。この表の入力には、3期分の決算書が必要となります。

私は、長年の金融機関勤務や独立後のコンサルティングを通して、会社の「キャッシュの大まかな構造」を可視化するため、次の「PBCグラフ」を考案し、分析のために活用しています。

PBCグラフの説明

「PBC」とは、P/Lの「P」、B/Sの「B」、CFの「C」の頭文字を取っており、決算書等の数値を一体型のグラフで表現しています。

前図では、「赤枠内」がP/Lの数値を単純グラフで表示したものです。

「入る金額」としてP/Lの「売上・他利益」を表示。「出る金額」として、左側の棒グラフにP/Lの「売上原価」「販管費」「他費用・損失」を表示。つまり、P/Lの収支を「棒グラフ」で簡略化して表示します。

「入る金額」の高さより、「出る金額」が低ければ、P/L上の「黒字」になります。

次に、青枠内は、実際の現金移動に関係するB/S、CFの部分です。

棒グラフの「/CF仕入払額」部分は、実際の仕入支払額を確認したいので、当期仕入額(製造原価がある場合は、当期の経費も含む)などから抽出して手入力する必要があります。

「/除償却」は、販管費から減価償却額を除いた額です(B/S・P/L表に入力すると自動出力されます)。

「借入調達」「借入返済」額は、B/Sでは期末残高しか分からないので情報が不十分です。期中の「全借入額と全返済額」(元金)を総勘定元帳などから抽出して手入力して下さい。

仕上げに、「期首現金預金」と「期末現金預金」の差額に一致するように「B/S内移動の額」を手入力すると、グラフが完成します。