子どもの不登校を振り返ってみた私の感想

さて、ここでは子どもの不登校を振り返ってみた私の感想を述べてみたいと思います。

私は、子どもが不登校になったことで、その渦中にいる親子の苦しみ、大変さについて、身をもって知ることができました。その結果、同じ立場にある多くの不登校に悩む親子を一人でも多く救いたいと強く思い、長年勤めた会社を辞めて、今運営している不登校の子どもが通えるフリースクールを立ち上げました。

子どもが不登校にならなければ、決して歩むことのなかった道です。今は不登校の子どもたちと日々楽しく過ごしています。それもこれも、私の子どもが不登校になったおかげ。子どもからは、本当に多くのことを学ばせてもらいました。この子でなければ知らなかった世界を見せてもらいました。感謝、感謝です。

子どもを実際に育ててみないと、その大変さは千分の一ミリもわかりません。それと同じく、子どもが不登校になった人にしか、わからないことがたくさんあります。

子どもが学校に行かなくなった当時、私はママ友に随分いろんなことを言われました。

「早く学校に行かせた方がいい」

とか、

「勉強、高校進学、どうすんの!?」

という、同情にあふれた、でも絶望的な視線。本当に、とてつもなく孤独でした。ただ一人だけ、同じく子どもが不登校になった経験のある旧友からは、「仕事は辞めたらあかんで」と、随分励ましてもらいました。心底ありがたかったです。同じ立場にある人に励まされて、初めて私はその言葉が心に届きました。その旧友にも感謝、感謝です。

子どもがいざ不登校になると、特にお父さんがその状況を受け入れられない、というケースが多々あります。夫婦の意見が食い違い、更に子どもを追い詰めてしまうことも。しかし私の夫は全てを私に任せてくれ、一切口出しをしませんでした。これも本当にありがたかったです。肝心なところだけ、助けてくれました。感謝です。

不登校の子どもにきょうだいがいると、随分その子は救われるような気がしています。私の子どもは他にもきょうだいたちがいましたので、不登校の渦中でも、一緒にゲームをするなど、みんなで仲良く遊んでくれました。学校に行っていないことについては、

「なんで行ってないのん!?」

と疑問に思うこともあったみたいですが、私が正直に説明することで、納得してくれたようです。いつも通り学校に行っていない子どもに接して、一緒に遊んでくれたきょうだいたちにも感謝。

今こうして振り返ると、結果的には子どもが不登校になったおかげで、私は多くのことに気づき、助けられ、感謝することができました。

子どもの不登校は、ある意味チャンスです。その子は本当に何が好きで、何が得意で、何をしていると楽しいのか。これを見つけるための有り余る時間が得られるのです。これさえ見つかれば、その子は幸せに生きていけると私は確信しています。どうか、不登校になったことを前向きに捉えて、他の子にはない、その子だけの光輝くものを見つけて、大切に育んであげて欲しいと思います。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『子どもが不登校になったら』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。