そのような技術開発の驚異をみているので、逆に、太陽電池に大きな期待をかけています。

太陽光発電(太陽電池)のソーラーパネルの部分は基本的に半導体製造技術と同じです。

しかし、太陽電池は、ソーラーパネル部分と外枠・配線機器などの部分と現場施工の部分から成り立っていますから、半導体ほどではありませんが、しかし、普通の機械とは異なって、きわめて量産効果が大きいものです。

それを見込んで政策立案者は開発・普及策を立てなければなりません。

同じ再生エネルギーといっても、太陽光発電、風力発電、バイオマス、地熱発電、その他とありますが、量産効果がきわめて大きいのは太陽光発電だけです。

風力発電は機械と同じラーニングカーブなみのコストダウンしかしません。

しかし、日本は、アメリアや中国やヨーロッパの大陸国家(風向・風力がある程度安定しています)とちがって、台風が来る、遠浅海岸がない、今後、地球温暖化で海はより荒れるという環境条件がちがう上に、風力発電の発電効率は、風車の羽の直径の2乗に比例し、風速の3乗に比例する、つまり、大きな風車が有利で大きいほどよい。

しかし、逆に風車にかかる荷重がそれに比例して大きくなるので建造コストが膨大になると思われます。

たぶん、日本企業が撤退したところをみると、それに耐えられなかったのでしょう。

やるとしても、欧米や中国企業と技術提携することになるでしょうが、小型から徐々に大型化していく慎重さが必要でしょう。

その他の再エネはほとんどコストダウンは期待できません。

一気にコストダウンをはかり、短期間で通常の電力価格以下にするというFITの政策意図に適したものを選ばないと、結局、一般の補助金行政になって、お荷物になりFITの足を引っぱるだけになります。

ついでに言いますと、このような議論は1973年の第一次石油危機のあと、通産省では石油代替エネルギー開発を10年近くやり、かなりの金を払って、すべて経験し学んだことです。

太陽熱発電も、風力エネルギーも、バイオマスも、小水力も、地熱発電も、潮力、潮汐も、すべて実験し、それぞれ結論が出ています。

その後、三十数年、私はウォッチしてきましたが、太陽電池以外日本では何らブレークスルー(技術突破)はありませんでした。

これはそれぞれの分野の研究者が怠ったということではなく、それらの技術は本質的に大幅なコストダウンができる技術ではないのです。

それが普及しないのは別の理由もあるのです。

周辺技術が大きく変われば別ですが)

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。