同じく内閣府の「結婚・家族形成に関する調査報告書」によれば、20~30歳代の男性について年収別の婚姻状況を見ると、年収が300万円未満の場合、20歳代・30歳代ともに既婚率が10%を下回り、年収300万円以上の既婚割合(25~40%弱)と比較して、大きな開きがある。

結婚生活をスタートさせるに当たり必要だと思う夫婦の年収については、20~30歳代の9割以上が「年収300万円以上」と回答している。

無職や非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者に比べて結婚意欲が低い。非正規雇用労働者では、経済的理由から結婚していない人が多く、年収300万円未満では既婚率が1割に満たない状態である。300万円以上400万円未満では25%を超えていることから、300万円が一つの境目となっているようである。

BIはこの「年収300万円の壁」をクリアする若者を増やすことができる。「2人目の壁」の存在には、教育費が高いことも影響している。文部科学省「平成30年度子供の学習費調査結果」と日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」に基づき、教育費を試算すると、幼稚園から大学まですべて公立学校で教育を受けたとしても1000万円超、高校まで公立で大学が私立文系の場合、1200万円超となる。[表1]

大学4年間の仕送り額は約400万円となるので、これを加えると、すべて公立学校の場合1400万円程度、大学だけ私立(文系)の場合1600万円程度となる。

つまり、たとえば80万円×22年=1760万円のBIがあれば、大学卒業までの子ども一人当たりの教育コストをほぼカバーすることができる。年間数十万円のBIがあれば、以上のような「年収300万円の壁」という条件だけでなく、晩婚化や経済的な理由による「2人目の壁」のクリアは容易になる。

写真を拡大 [表1]学校種別の学習費の状況