保育士の高い離職率と新卒者の低い応募率

平成二五年度に人材確保のための補助金が保育園に交付されました。

人材確保に苦労している保育団体の訴えが、国会においても審議されることになって、緊急に交付金が出されることになったのです。

一部の人は交付金が出されたことを単純に評価しているようですが、私は人材確保が困難な状態になっていることそのものを深く受けとめなければならないと考えています。

現在の日本社会の価値観のありかたを含めて、保育園の現実としてほとんどの園長が多くのことを課せられ、事務量の増大によって余裕を失い、自信を持てない状態にあり、そのことが保育園全体の雰囲気を暗いものにしているように思います。

離職する職員には家庭の事情や健康状態のことなどそれぞれに理由があるものの、それらの理由をのりこえてがんばろうという意欲を持てないことが、離職率を高くしているように思われるのです。

また、新卒の学生の応募者が少なくなっている背景としては、実習中に自分の保育士としての能力や自分自身の家庭での育ちや学校での教育に問題があることに気づき、自分の保育に自信が持てない状態になっていることも考えられます。

また、実習中に見た園の保育士があまり楽しそうにしていないことが、応募をためらう原因となり、新卒者の応募率の低さにつながっているように思います。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『明るい保育は未来を明るくする 「積極的保育」のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。