ヒトでも認識力・認知力の改善効果を確認

〈短期記憶テスト「PQQを摂取した人」と「摂取しなかった人」の比較〉

PQQはヒトでも脳機能改善効果を示すことが、以下のような単語テストによっても確かめられています。

まず、40代、50代、60代の健康な方々40名を「PQQを摂取したグループ」と「摂取しなかったグループ」に分け、PQQ摂取グループにはPQQが20ミリグラム含まれるカプセルを、非摂取グループにはPQQが含まれないカプセルを、1日1回朝食後に12週間摂取していただきました(被験者の皆さんには、どちらのカプセルを飲んでいるのかは知らせていません)。

この単語テストでは「もの忘れ外来」などでも多く取り入れられている方法を使い、短期記憶力の変化を測定するのです。

オペレーターが七つの単語を1語ずつ読みあげたあと、被験者の皆さんに復唱しながら記憶していただき、復唱後すぐに思い出せた単語の数を「即時想起単語数」として記録しました。

その結果、PQQ摂取グループでは飲み続けるにしたがって即時想起単語数が増え、12週間後には平均で約1単語多く思い出せるようになりました(図2)。

図2 単語テストの結果のグラフ

〈ストループテスト「PQQを摂取した人」と「摂取しなかった人」の比較〉

さらに、PQQに情報処理能力を高める効果があるかどうかについても調べられました。

短期記憶テストの被験者と同じメンバーを、PQQ1日20mg摂取グループと非摂取グループに分け、4週目と12週目に「ストループテスト」を行い、所要時間がどれだけ短縮できたかを調べました。

ストループテストとは「ストループ効果」とか「逆ストループ効果」と呼ばれる現象を利用して行う世界的に知られた心理学テストで、「ストループ」はこれらの現象を報告した心理学者の名前です。

色を示す文字がその意味と一致していない色のインクで印刷されている場合、人は文字情報の影響を受け、色を認知するスピードが遅くなります(ストループ効果)。

逆に、色情報の影響を受けることで、文字を読むスピードも遅くなります(逆ストループ効果)。

たとえば「赤」という文字が青色で書かれていたとき、はじめはそのまま文字として「赤」と読みます。同様にして、「青」「黄」などさまざまな色で書かれた文字を読み終えた後、今度は「赤」という文字が書かれている色を読み上げていきます。

色と単語の意味が不一致なカラーワードに対して、「できるだけ速く色の名前をいいなさい」という指示を受けたとき、私たちは無意識のうちに、日常の中で読み慣れている単語を読みたくなります。

しかし、実際には色の名前をいわなければならないので、脳は認知的葛藤が生じて、単に文字を文字として読む場合と比べて、明らかに反応時間が遅くなります。

すなわち、目から入った情報を単純な音読ではなく、いったん脳内で情報を処理して回答するという複雑な情報処理能力を評価しており、脳機能のうち、注意力やワーキングメモリーなどを評価できるテストなのです。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。