みんな どこへ行っちゃったの?

意識朦朧の状態で夢から覚め、なんとか目を開けてみると、次のような言葉が何度も何度も頭に浮かんできました。

「ぼくの魂が食べ物を求めている、魂が食べ物を求めている、魂が食べ物を求めている……」

これは書きとめなくちゃ、さもないと忘れちゃうとわかってはいても、紙とペンを握るには、ものすごい意思の力が必要でした。けだるいまま、彼は暗闇の中で書き始めました。ところが、たまらない眠気が襲ってきて、うとうとしてしまい、ノートの上に突っ伏してしまったのです。でも、朝になってみると、ちゃんとメモが残っていました。

「魂が食べ物を求めている、それもありふれた食べ物じゃなくて、何かすごく変わったものだ」

そんなことを書きとめた記憶は全くありませんでした。そのメモに目をやりながら、「なんで、こんなことを書いたんだろう? なんで、わかったんだろう?」と不思議でした。でも、夢の中で真実を見せられると、納得するのでした。彼は困惑すると同時に、ちょっと面白がってもいました。

「彼ら」には、わからせる方法があるらしく、あの若い元気に溢れた馬が、自分の魂か霊(スピリット)を、あるいは生命力みたいなものを表していることを、彼はなぜか知っていました。とにかく、とても威勢が良く、生なまでも何でも、新たなチャレンジを受けて立とうとするような……しかし、あの「小さな」彼は……それはまた別の話でした。チョコレートをたっぷりつけて何でも甘くする癖があったみたいです。