しかし、音楽は政治や経済と無縁ではいられない。

ベトナム戦争の終結とともに、それまでの熱い議論と体制変革への希望は潰え、無力感だけが残った。そういう無力感を「結晶化」し、閉塞した時代に立ち向かう「錐」として「一触即発」は機能した。同時に「カタルシス」をもたらした。そこには明らかに、時系列に沿った音楽の地平が広がっていた。

翻って、現代の若者、例えば1990年生まれの男女を例にとると、彼らにとっては、生まれた時から、一時代を画した数多くの偉大なミュージシャンが並列して存在している。

ビートルズ、ローリング・ストーンズに始まる60年代。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、YESなど錚々たるバンドが躍り出た70年代。エアロスミス、ボストン、TOTO、モントローズ、セックス・ピストルズ、ラモーンズ、スティール・パルスなど多様な流れが次々に生み出されてきた80年代。

そして、今や数多くのバンドはデビューするものの、全く時代に「突き刺さらない」人畜無害なものばかりになってしまった。再確認しよう。音楽には世の中を変える力がある。現に、活動歴が長い日本のユーミン、サザン、ドリカム、ミスチルと、一通り上げてみただけでも、当時の世相に多大な影響を与えてきている。

彼らの歌の中には、小市民的なラブソングを超えた、メッセージソングが多く含まれている。皆さんもお感じのように、時代はますます閉塞感を増しています。その閉塞感を打ち破る「錐」のような音楽を探してみませんか。