第2章 リズムメイク

3. 映像リズムの構成要素 

映像リズムは大きく分けて、以下の3つの要素から構成されています。

「編集」「動き」「音」

「編集」によるリズムメイク

映像リズムと聞いて真っ先に思い浮かぶのは編集によるカットの対比でしょう。カットとカットを組み合わせることで視覚的変化を感じさせたり、新しい意味を生み出せたりするのは、映像ならではの表現方法です。

大きい音と小さい音を交互に鳴らせばメリハリがつくように、映像も先行カットと後続カットのコントラストが大きいほどメリハリがつきリズムの刺激度が強くなります。

この編集によるコントラストの量によってさまざまな印象を視聴者に与えることができます。

[図1]コントラストの弱い編集
[図2]コントラストの強い編集

「動き」によるリズムメイク

「動き」は無条件に人の心を揺さぶります。そのためカットが変化しなくても、画面内の動きに一定のパターンがあればリズムを感じさせることができます。

「動き」はさらに「被写体の動き」「カメラワーク」「効果の動き」の3つに分けることができます。


●〈被写体の動き〉

被写体とは人物、背景、乗り物、天候など撮影対象となるすべてのものを指します。
人物の動作はもちろん、背景となる人波、車や電車、雨や雪、風に揺れる樹木など画面内のすべての動きの量、方向性、スピードをコントロールしてリズムを作り出していきます。

[図3] 被写体の動き

●〈カメラワーク〉

被写体が動かなくてもカメラが動けばリズムは生み出せます。レンズを動かし拡大縮小する「ズーム」、カメラを横や縦に振る「パン」、カメラ自体が動く「ドリー」などカメラワークは映像ならではのリズム要素です。

[図4] カメラワーク

●〈効果の動き〉

現代の映像制作はテロップ(文字)、画像合成、CG、モーショングラフィックなど、さまざまな効果を組み合わせて作られています。これらは画面内の装飾に加え、にぎやかなリズムを生み出してくれるので、情報系映像では頻繁に使用されます。

[図5] 効果の動き

「音」によるリズムメイク

音楽がリズムを生み出すのは周知のとおりですが、会話などの音声もリズムを生み出す大切な要素です。芸人の漫才などは編集による変化がなくても、会話のリズムがよいため思わず見入ってしまいます。

ドラマ、ニュース、お笑い、インタビュー、解説動画など音声が重要な映像において、しゃべりのリズムが心地よいかどうかはとても大切です。

「えー」「あのー」などの言葉のつまりや、微妙な間などは多少編集に違和感があってもカットして、スムーズにしゃべっているように見せたほうがリズムはよくなり 、心地よく視聴することができます。

音楽に頼りすぎない

音楽が映像リズムに与える影響は絶大です。ノリのよい音楽に乗せて編集をしていけば、それなりに見られるものができ上がります。

そのため初心者は音楽の力に頼りがちですが、本当にリズムのよい映像は、無音状態でも視覚変化だけで心地よいリズムを感じさせることができます。

音楽はあくまで映像の引き立て役と捉えましょう。

[図6] スムーズにしゃべっているように見せる
※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。