写真撮影を介して親を知る「有終写真」

親子の対話事例として、大阪のフォトスタジオ「soramark」の代表でフォトグラファーの相葉幸子さんの活動を紹介したいと思います。

彼女は、関西でのマタニティーフォト撮影の草分け的存在です。

「家族の物語」をテーマに、妊娠中の写真や、誕生した赤ちゃんとの写真、子どもの成長とともに家族写真を定期的に撮影し、その時々のメッセージを入れた写真を残し続けていくサービスを提供しています。

五年ほど前からは、高齢者を対象とした「有終写真」を始めました。

有終写真には、人生の「有終の美」へ向かっていく人の姿を、写真と言葉で残していくという意味が込められています。

相葉さんは撮影する相手をリラックスさせ、人となりが存分に引き出せるよう、様々な質問を投げ掛け、傾聴しながら撮影していくスタイルをとります。

撮影が進むほどに相手の心が開いていき、撮影後には気持ちがすっきりと前向きになる方が多いそうです。その様子を傍らで見ている子どもたちは、親がする話にいつも驚いていると言います。

子どもとしては、親のことを十分に知っているつもりだったのに、「そんなことを考えていたのか」「そんなことがあったのか」という意外な話が飛び出すからです。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『年寄りは集まって住め』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。