第2章 リズムメイク

2. 映像リズムの特徴

固定リズムと自由リズム

リズムと聞いて真っ先にイメージするのは音楽でしょう。

音楽は一定の拍節に基づいた固定リズムなので、同じ間隔で音を鳴らせばリズムは発生します。しかし映像は同じ長さでカットを積み重ねてもリズムがよくなるわけではありません。

映像は撮影素材の動き、質、音、意味によって適切な長さが変わる自由リズムだからです。そのため音楽のように数値化、ルール化が難しく理論よりも感覚に頼る部分が大きいといえます。

とはいえ、映像におけるリズムメイクがすべて理論の通用しないセンスまかせというわけではありません。自由リズムにもパターンと法則があります。

[図1] 固定リズム(拍節リズム)
[図2] 自由リズム

素材の質を見極める

映像作品は主に短いカットの積み重ねでできています。自由リズムである映像で心地よいリズムを作り出すには、まずそのカットが何秒見せられるかを見極めなければなりません。

撮影されたカットには一定の「情報量」と「画の質」が含まれており、「情報量」が多く「画の質」が高いほど長く見せることができます。

もし、あなたが映像初心者で、これから魅力的な映像作品を作りたいと考えているのであれば、最優先で心掛けることは美しい撮影ができることでも、おもしろい企画を考えることでもありません。心地よいリズムメイクを実現するための知識、技術、センスを身につけることです。

映像においてリズムは内容よりも重要な土台であることを意識しましょう。

そのため、ロングショット(全景)などの情報量が多いカットは見せる時間が長くなり、情報量が少ないアップのカットは見せる時間が短くなるのが一般的です。

カットの情報を理解したのにカットが変わらなければ視聴者は飽きてしまいますし、カットの情報を理解しきれていないのに次のカットに変わってしまえば、物足りなさを感じてしまいます。

カットの長さは作り手の好みや気分で勝手に決められるものではありません。

「伝えたいこと」「抱かせたい感情」「素材の質」が決まれば、自ずと適切なカットの長さは決まるものなのです。素材を見極め、長すぎず短すぎず、適切な長さでカットを積み重ねることが、心地よい自由リズムを作り出す基本です。

「動き」と「変化」

映像リズムを生み出す基本要素は「動き」と「変化」です。人間は動いているものを優先的に見る習性があります。これは危
険を察知して身を守るための動物的本能が影響しているといわれています。だから人間は動いているものを見ると本能的に情動が揺さぶられるのです。

映像リズムは、「画面内の動き」と「変化による動き」を絶えずくり返すことによって小さな情動を連続させています。

「動き」は情動を喚起させる

これは映像表現において最もシンプルで根幹的な法則です。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『伝わる映像 感情を揺さぶる映像表現のしくみ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。