対策としては、筋肉をストレッチしてほぐすことです。そうすることによって、血行が改善し、攣りにくくなります。直接的には下腿・ふくらはぎのストレッチ、すなわち準備運動などで定番の、アキレス腱を伸ばすストレッチをすることです。これは同時にふくらはぎのストレッチにもなります。

さらに下半身の筋肉強化もしたければ、大きな筋肉の筋肉量を増やすトレーニングも行うと、身体の代謝率も上がり、より健康的になります。フィジカルトレーナーの中野氏によると、具体的な運動としてはスクワットやヒップリフト、レッグカールなどがあります※2。

運動量としては、20回×2〜3セットすることがおすすめだそうですが、私が実際にやってみるとかなりきつい運動です。

中野氏によれば、強めの運動を行うことで筋肉に軽度の傷ができ、その傷が修復される時に筋肉量が増すので、後から筋肉痛を感じるようなきつめの運動がおすすめということです。

必要な筋トレの内容はわかりましたが、より楽しく運動できる方法として私はバレトンというプログラムを思い出しました。バレトンとは、ニューヨーク発祥のバレエとフィットネス、ヨガを組み合わせた有酸素運動です。

私が愛用しているフィットネスサイトにバレトンのプログラムがいくつかあり、これは足や足指の筋肉を含めた下半身の筋力増強に役立ち、また体幹やバランスのトレーニングの要素もあります。

準備運動は足指や足底のストレッチから始まり、フィットネスのパートではスクワットやランジなどの大きな筋肉を使う運動が組み合わされます。個々の動きは8回や12回繰り返し行いますが、音楽のリズムに合わせるので、呼吸をしながら楽しく動くことができます。

バレエのパートでは、脚や手をバレエの振り付けのように動かすわけですが、インストラクターから、「ここは素早く動かして」「ここはゆっくり軽やかに」などと指示が入ります。私は今までバレエを習った経験はありませんが、脚をゆっくり上げ下げするためには、見た目よりもかなり筋肉を使わなくてはいけないことを実感しました。

バレリーナの重力を感じさせない優雅で軽やかな動きは、実は筋力がとても必要な動きなのでしょう。バレトンで鍛えれば、私の二つ目の問題のバランス力や体幹の筋力も鍛えられると思うので、一挙両得です。それまでは転ばないように階段の手すりを持って、安全第一でいきたいと思います。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。