それでも、真面目に高校のレポートを出した結果、「指定校推薦」により、広島の大学に行けることとなった。私は、この大学に通うことが楽しみで仕方なかった。父も、

「この高校を選んで良かった」

と満足し、私もやり直すチャンスを得られて、意気揚々と大学生活に乗り込んで行った。

ここでも、私と双子の兄が同時に大学に入ることで、父親には大きな負担を強いてしまったと思うが、当時の私はそれよりも、また全日制の大学に通うことで友だちを作り、一生忘れられない大学4年間を送ることを夢見ていた。

いざ入学すると、初日から各サークルが熱心に勧誘をしていた。入学式を執り行った体育館から講義室へ向かう道すがら、各サークルがビラを配っており、断れない私は、手にいっぱいビラを抱えて講義室に入ることとなった。

そのなかで一番興味を引いたのは、「自動車部」だった。レースに出てタイムを競う。独自の駐車場がある。それだけで魅力的に映った。特に、駐車場は大学になく、バスと電車での通学は、体力の落ちてしまった私にとっては一苦労だったため、車で通学できるのが、嬉しかった。

一度見学に行ってみると、油のにおいが充満し、胸が躍ったが、私の苦手なジムカーナであった。オートマしか免許を持っていない私にとっては、ミッションの操作も厳しく、駐車場だけ使わせてもらうわけにもいかず、この部活を諦め、ほかのたくさんのビラには興味を惹かれず、サークルには入らないことにした。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『バイナリー彼女』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。