最近、日本でも調査や研究が行われた結果、歩数を多く歩くよりは、少し強度の強い速歩などを取り入れて、「量より質」の歩き方が推奨されています。

2016年の新聞の記事によると、東京都健康長寿医療センターの青栁幸利氏が、「病気にならない歩き方の黄金律は、8000歩+中強度20分」であると提唱しています。これは、1日8000歩歩き、そのうち20分間は中強度の歩きをする、ということです。

中強度の歩きとは、「何とか会話できる程度の速歩き」のことで、運動強度を高めることによって、骨や筋肉に適度な刺激を与え、骨密度や筋肉量の低下や体温の低下を防ぐことができるからだそうです。彼によれば、運動をやりすぎても免疫力が低下するなどの障害が出るリスクがあるとのことです。

同様に、信州大学医学部の能勢博氏も、ウォーキングに早歩きを取り入れるべきだとすすめています。彼は、1日1万歩歩いた人のデータを集め、その効果を調べたところ、顕著なものは見つかりませんでした。

そこで、体力を向上させるためには、運動強度を強めるべきであるという結論に達しました。ジムで機械を使ってトレーニングするのが正統的ですが、普段のウォーキングを工夫しても同様の効果が得られるということです。彼は、早歩きを3分間と普通歩きを3分間を繰り返す「インターバル速歩」をすすめており、週に早歩きを合計1時間する、または相当する強さの運動をすると体力が向上すると結論付けています。

さて、私はというと、平日、家事や仕事をする日常生活だけで、8000歩前後歩いていることが多いようです。ほかに用事があり多く歩く日には、10000歩を超えます。

でも、特に早歩きはしないので、多く歩いた日でも、運動をしたという実感はあまり湧きません。運動をしたと実感し、食事前になると健康的にお腹が空いたと感じるのは、やはりエアロビクスをしたりゴルフコースを回ったりというような、特別な運動をした場合です。ただし、仕事のある日にはなかなか時間が取れないので、特別な運動は週に1回できれば良いほうでしょう。今後は普段から、ただ歩くだけではなく、早歩きも取り入れていきたいと思います。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。