それは理学療法士の方が発起人となって企画し、市を巻き込んで開催した大きなイベントでした。その方と偶然知り合ったことがきっかけで、イベントスタッフを手伝うことになったのです。

純粋に楽しい思い出となったイベントですが、それ以上の発見がありました。一緒に運営メンバーとして参加したスタッフの方々は、一切私の病気のことを気にせず、中高時代の教師や友人のように、私個人と接してくれました。

この対応は普通のことかもしれませんが、病院で病気を理由に理不尽な対応を受けていた私にとって、社会に出てからもそんな方々がいることに、驚きが隠せませんでした。

この時のイベントがきっかけで、病気ばかり気にして接してくる人もいれば、病気の有無は関係なく接してくれる人もいるのだから「病気なんだから〜」という目で見てくる人には必要最低限の付き合いで十分で、私という人間と接してくれる人を大切にして自分のエネルギーを使えばよい、と思えるようになりました。

転職先が決まるまでの間に、一つ私の中で明確になったことがあります。

自分の心や身体を犠牲にしてまで、無理に一つの環境に止まる必要はどこにも無い、ということです。

そんな環境があなたを守ってくれることは無いでしょう。

どんな環境でも様々な人との出会いがあり、その中には何を言っても反対する人、特に反応の無い人、とても応援してくれる人が、二:六:二の割合で存在します。私のこれまでの様々な場面を思い返してもそうでした。

それならば自分から動いて、私が過ごしやすい環境を探せばいいと思うようになったのです。

環境に身を委ねるのはこれで最後にしようと決めた瞬間です。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ナルコレプシーと生きる ー向き合い方から在り方へー』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。