これはアメリカが2040年までに、より積極的な戦略的関与を放棄し、アメリカ要塞に立てこもり、周囲を近隣の敵対国家にぐるりと取り囲まれる状況に陥る。

その結果、西半球におけるアメリカの孤立はいっそう深まり、地球規模の大災厄をもたらした張本人と非難され、アメリカが自国を守るために講じた各種の措置は怨嗟(えんさ)の的となるだろう。」

としています。

アフリカについては、

「アフリカ大陸の北辺(すなわち、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア)は崩壊の危機に直面している。水をめぐる諸問題に、依然増え続ける人口が組み合わさり、制御不能に陥ったためである。

(中略)西アフリカ諸国はそれぞれ、地下の帯水層の我田引水をはかり、生存競争のゼロサム・ゲームを試みるかもしれないが、リビアが現在、総額200億ドルの大規模灌漑プロジェクトを目論んでいる大ヌビア砂岩帯水層でさえ、わずか50年ほどでほぼ枯渇してしまうのが現状だ。

さらに東に目を転じると、エジプト、スーダン、もしくはエチオピアのナイル川をめぐる綱引きが視野に入ってくる。ナイル川とその支流の上流部分で2040年までに灌漑プロジェクトが高まっており、そうなると、ナイル・デルタが高潮のリスクにさらされることになる。」

サハラ砂漠以南のアフリカでは、

「いまでもすでに脆弱な基盤のうえにくらす数億人の人々は、各種の病気、栄養失調、衝突により、死の脅威がいっそう高まる。いちばんの原因は長期にわたる干ばつだが、大半のアフリカ諸国に見られる社会インフラの不備が、破綻国家の拡張へとつながり、あらゆる問題をいっそう深刻化させ、難民の大量流出を発生させる。

多くの者はすでになじみのある道をたどり、北への移動を開始し、ヨーロッパを目指すだろうが、南アフリカ共和国(すでに深刻な干ばつで問題を目いっぱいかかえている)をめざす南方ルートも踏み固められていくだろう。」