夜と共に訪れるものは?

夜の帳(とばり)が下りて、夜が優しくささやきかけてくれるのを、フォールは待ち望んでいました。

夢や声の訪れを、アストラルな旅や、別の宇宙や異次元の現実の訪れを既に知っていましたから……

なんと素晴らしい、果てしなく続くかのような気づきの旅だったことでしょう!

フォールは、これらの夢が大好きでした。それは、夜毎の闇を照らすために点在する楽しみの灯りなのでした。

時にはスリラーで、時にはラブストーリーで、また、時にはホラー映画だったり、可笑しなコメディーだったりしながらも、眠りのひとときをアドベンチャータイムに変えてくれるのでした。

また、夢が消えていく時の何とも言えないうっすらとした輝きも好きでした。もう、夢の何もかもが好きでたまりませんでした。

夢は、この世の旅路を案内してくれるコンパニオンなのでした。いつも励まし、困った時は助けてくれる教師であり、アドバイザーであり、ガイドであり、友人だったのです。

そればかりでなく、天使たちはいつもすぐそばで、不思議な計り知れない夢の情景を通して、彼を助け、導いてくれたのでした。

とは言え、ここ数か月の間に、彼の夢は以前には想像すらできなかった本格的な体験へと変わって来ていました。夢の中での方が、現実の生活よりも生き生きと感じられるのでした。

どんなことでもものすごく細かく、しかも立体的に感じられ、不思議なことに、体はベッドの中で眠っているのに、意識的に考えていられるのでした。

そのことを表現する適当な言葉が見つからなかったので、彼は取り敢えず「フィジカル・ドリーム」と呼ぶことにしていました。

フィジカル・ドリームは、時としておどろおどろしい、怖い、身の竦むようなものでしたが、同時に神秘的で、この世のものとは思えぬ、言いようのない美しい体験でもありました。

これらの体験は、他の意識レベルへのインターディメンショナル(多次元)なシフトとか旅とか投射というものであることを、彼は後になって天使たちから説明されるのですが、実は、意識それ自体の無限性を探り当て、内的に成長するために彼に「贈られた」ギフトだったのです。

恐ろしい体験のほとんどは、意識レベルの低い時に起こるものであることを、後に彼は知らされます。そして、それが本当であることが、証明されます。より高い次元(意識レベル)に到達できた時は、体験が恐ろしいものから至福に満ちた恍惚感へと変わるからでした。

そうした次々と変わる現実には、ちゃんとした名前があることも、フォールは知らされます。

例えば、アストラル体投射とかエセリック体投射、カルマの旅、アカシック・レコード、インターディメンショナル・シフト、等々。

それらは皆、「かつての」自分には理解の及ばぬ、わけのわからないものでしたが、今ではなくてはならないものになっていました。